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目次
Q.現在の事業を教えてください
「1967年の創業以来、50年以上英会話教室を運営している他、外国人向けのシェアハウス・賃貸などの事業を行っております。以前は『有限会社大阪イングリッシュハウス』という社名でしたが、私が代表に就任してから大阪・イングリッシュ・ハウスの頭文字を取って『有限会社OEH』に変更しました。
ちょうど私が事業を引き継ぐ際、新たに介護事業へ進出する話が出ていたので、社名が『イングリッシュハウス』ではアンマッチだったということもあるのですが、もっと多方面に色々な事業を展開したかったので、何屋さんか分からない汎用性の高い社名が望ましいと考えたことも理由です。また、社名を書くのも領収証を貰うのも大変だったので、どうにか短くしたいとずっと思っていたんですよね(笑)。」
Q.なぜ、現在の事業を始めようと思ったのですか?
「元々は私の父が創業者でして、当時は父を含めて7名のメンバーがいたそうです。どうすれば効率的に英語が習得できるのかを考えたところ、一緒に生活するくらいでなければ活きた英語は話せないよね、という結論に辿り着いて事業をスタートしたと聞いています。
そこで”国内留学”ができるような、住み込みで外国人と朝から晩まで話せる施設として作ったのが『大阪イングリッシュハウス』なのですが、最初は7人でお金を出し合って土地を買い、2階建てのプレハブみたいな建物を作ったそうです。部屋の両サイドにベッドがあって7〜8人が寝起きをする感じだったようで、ドミトリーハウスをイメージしていただくと近いかもしれませんね。
設立はもう60年くらい前の話になりますから、日本にいる外国人は本当に少なく、弊社の講師をしてくれていた外国人の先生が京都や大阪へ行くと、まだ珍しがられていたようです。とはいえ、当時から普通に英会話スクールは存在していて、プレイベートレッスンが1時間で1万円くらいの費用感だったそうですから、大学の初任給が1万8千円だったことを考えると、今に換算して10万円くらいする高価サービスというイメージなんでしょうね。週に1回1時間とすると、月に40万円くらいでしょうか。
一方で当時の弊社は、2週間コースなどの短期間で英語を習得するサービスを提供しており、月の1日と15日が入学式で、14日と30日が卒業式という風に入居者が循環しており、ずっと住んでいるということではなかったようですね。基本的には2週間という食事つきのコース合宿のような形で、人によって4週だったり6週だったりする、という感じだったそうです。
そこから段々とビジネスが変遷していったのですが、平成元年に建て替えを行ったことで大きく変わりましたね。1階に8部屋、2階に14部屋あるマンション形式で貸し出しをするようになって、当初は2人1部屋だったものが、大学生の一人暮らしというニーズに合わせて今は1人部屋になっています。入居者の割合としては日本人と外国人が半々くらいで、ラウンジが広いので先日もたこ焼きパーティーをやっていたりと、楽しく過ごしてもらえているようです。ちなみに私は3階に住んでいて、実家でもあります(笑)。
コロナの時は本当に大変で、大学もやっていなければ周辺のバイト先も閉まっているといった状況でしたから、一時期は寮生が全員出ていってしまってガラガラになってしまったこともあり、3回ほどは”潰れるな”と思った程でした。どうにか耐えましたが、今も完全に戻ったとは言い難く、民泊やレジデンスホテルなど新しい事業展開のために色々と準備をしているところです。」
Q.現在の事業の反響はいかがでしょうか?選ばれる理由は?
「部屋を借りに来られる方で最も多いのは関西外国語大学の学生さんで、地方から出てきて下宿を探しておられるパターンです。親御さんが弊社のホームページをみつけて見学に来てくださって、お子さんへ”あんたここにしとき”みたいな感じが多いですね(笑)。外国人はコロナ前ですと短期滞在ビザで日本へ来て職探しをしている方が多く、3か月の間に仕事が見つかれば長期で住んでくれるし、見つからなければ帰るといった感じでしたが、最近はほぼ100%ネットから、たまに紹介です。
日本人学生の親御さんから選ばれている理由としては、英語学習に特化していることはもちろんなのですが、管理者が同居しているという安心感だと思います。管理者やスタッフがいて先輩もいる環境、設備も二重ドアで普通のワンルームマンションのように誰かが直接部屋へ訪ねて来ることもないといった防犯面、それに衛生面などが決め手になるようです。親子三代で寮生という方々もいらっしゃいましたよ。
実際に住んでから1番感謝されるのは、寮生が風邪などをひいてしまった場合に、病院へ連れていったり胃に優しい食事に切り替えたりとフォローしてあげられる、家庭的なところですかね。昔住んでいたからと訪ねて来る方もおられて、それこそ先日50年前に住んでいたという外国人の方がアポ無しでいらして”まだあったんだ”と仰っていました(笑)。また、寮生同士が50組以上ご結婚されていて、お付き合いの段階も含めると300組くらいはカップルになっているのではないでしょうか。そういうのは嬉しいですね。」
Q.インバウンド事業を行う中で苦労した点や乗り越えた点は?
「やはり外国人は主張が強いので、家賃を払っているんだから掃除しろなどガンガン言ってきますよね(笑)。ただ、そう言われるとつい日本人は分かりましたと言ってしまいがちなところを、誰が使って誰が汚したのかよく考えてくれと、こちらが業務を怠っているならまだしも、通常通りやっていることに対するクレームは困るというスタイルで通しています。
もちろん相手を見て言い方などは選びますが、受け身すぎると相手もそれにつけ込んできますから、主張は必要だと思いますよ、日本人は主張しなさすぎるところがありますので。ただ、喧嘩になってしまわないためにも経験値によるところが大きいでしょうから、いきなりやれと言われても難しいのかもしれませんね。私は海外へ行く機会が多く、ありがたいことにそれぞれの国民性や価値観の違いを肌で感じていますので、一言で”外国人”とまとめるのは絶対に無理だという体験知で対応しています。
特に日本は世界的にも唯一と言える、ほぼ単一民族で同一言語の島国ですから、我々の方が珍しいんだという意識は大事なことだと思いますね。そういう意味では、外国人相手のビジネスをしようと思うなら海外へ行った方が良いということは言えそうです。逆にもう完全に日本語対応のみで、日本語を学んで来いと、郷に入っては郷に従えというスタイルで押し切るのも良いかもしれません。中途半端に相手に合わせようとするからややこしくなるので、どちらかに決める方が良いのかな、と思います。
そもそも文化の違いはあって当然ですからマインドが大事だと思っていて、日本人は割と初めから出来る前提で物事を進めがちなように感じているんですよ。準備も凄く綿密で時間をかけますし、例えば24時間でプロの陶芸家を目指すというシチュエーションがあったとしたら、日本人は24時間かけて最高傑作を1つ作ろうとする、しかし世界のスタンダードは24時間で1つでも多く作ったもの勝ちという考え方なんですね。つまり、大事なのは24時間で作れるだけのものを作るということなのですが、日本人は最初から最高の物を作ろうとする、クオリティに拘るところがあると思います。
いや最初からできるわけないじゃん、と。最近ちょっと目についたのも”失敗しない留学”という記事でしたが、いや違うと、失敗しに留学に行くんだと声を大にして言いたい、失敗しないと覚えないんですよ。同じアジアでも途上国の人はハングリー精神があって強いですから、取り敢えずやってみようという人たちを相手に失敗しないマインドでは勝てませんよね。続けることができればいつかは成功するし、止めればそこで終わり、そのマインドの違いは結構大きいように感じています。
もちろん私にもビジネス上の失敗はありましたし、むしろスムーズにいかない事の方が多かったような気もしますが(笑)、何年か経ってからあの時の経験が活きたな、あの時失敗して良かったな、苦労した甲斐があったな、と最近はよく思いますよ。頓挫したものがあっても、準備してたアレが使えるじゃん、ということがあったりしますから、躓いても後々に何かの形で回収できれば良いのかな、という感じですよね。」
Q.今後の御社の事業展開について、教えてください
「これはもう8年ほど前から言っているのですが、海外拠点を作りたいと考えています。海外に日本人が気軽に行ける場所があったら良いなと思っているんですよね。例えばどこかの国に行こうとなった時に、あそこならイングリッシュハウスがあるから泊まってみようか、という風になれば良いなと。まずはワーホリ提携国を対象に動いていて、ポーランド、イタリア、アルゼンチンあたりを検討しているところです。ワーホリでポーランドへ行くんだけど、とりあえずイングリッシュハウスを訪ねればどうにかなる、といった感じですね。
住む所とご飯の心配をしなくて良い、仕事も斡旋してくれる、現地の人も日本人もいる、そんな拠点が世界中にあれば、という風に考えています。また、例えば北米やカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、それにイギリスあたりは日本人が沢山行っていて、情報も溢れていますが、日本人のいない所へ行くということには優位性があるでしょうしね。
各国のどこに拠点を置くのか考えながら色々と見て回っているのですが、例えばイタリアは北部と南部では全く文化が違いますがそれぞれに魅力的で、悩ましいですね。いずれにせよ自社所有を考えていて、なかなか大きな投資になりますからファンドでご協力いただきたいくらいですが(笑)、やはり自分で買わなければ責任感も伴いませんし、愛着も湧かないのかな、と思っています。」
Q.今後、インバウンド事業の需要や未来はどうなるとお考えですか?
「難しいお話ですが、日本がどう受け入れるのかということが今後のテーマになるんでしょうね。多文化共生という意味では、やはり日本人も外に出て見てくるということが1番なのかな、とは思います。受け入れる他者を知るということは大事なことで、日本のパスポートはどこにでも行ける世界最強のものなのですが、保有率は20%を切っているらしく、驚きました。バブル絶頂期の65%からどんどん下がっていったそうですね。
もちろん中には悪い人もいますが、基本的には世界に行くと大多数は日本人のことが大好きなんですよ。少し前に1か月かけて南ヨーロッパ7か国をレンタカーで2,500KM走ってきたのですが、日本人の99%が行かないであろうコソボやアルバニアでも、日本大好き、トヨタ車に20年乗ってるぜ、みたいなことを言ってくれるんです。本当に先人が偉大だったということを実感しますし、日本人の生み出すクオリティに対しては、世界のどこでもウェルカムしてくれます。
そういうことを知って日本に戻り、外国人を見かけると、やはり良くしてもらったら良くしてあげたいという気には絶対になりますよね。そうすると、より良い共生ができるのではないでしょうか。日本には徴兵制がありませんから、その代わりに何歳までに何か国かを回れというようなことをすれば、日本が最強の国になるかもしれませんよ。
外国へ行くと何か日本の美点をアピールしなければと思うかもしれませんが、敢えてセールスをしようとしなくても、勝手にセールスになるくらいです。例えば、これほどきちんと時間を守れるのは世界で日本人だけですから、時間通りに電車が来ているのに”お待たせしました”というアナウンスに、”待ってないし”とひっくり返るみたいなね(笑)。バスの時刻なども遅れる前提で動いていますので、時間通りに来るから早く行った方が良いよと伝える必要があります(笑)。
他者を知る事が多文化共生の早道というか、より良い状態の下地になると思いますし、知らないというのは1番怖い事ですからね。シェアハウスでも、最も重要なことは仲良くしてもらうことなんです。普通のアパートは、挨拶に行けば顔くらい見たことがあるにしても、上下左右にどんな人が住んでいるのか、ちゃんと知らない事の方が多いでしょう。しかし寮であればお互いに背景などを知っているので、仲が良い状態でいられるようにフォローしておけば、ある程度問題が起こっても自分たちで解決してくれます。
期間限定で来日している労働者が起こす事の多いゴミ捨てなどの地域トラブルも、本人は当たり前だと思ってやっていて単に知らないだけ、必死でやっているつもりで結果として失敗しているようなこともある訳です。それは教えてあげていない事に責任があるかもしれませんし、相手は主張が強いんですから我々もちゃんと言うべき事を言わなければいけないと思いますよ。こうしたことは、今後どんなビジネスにおいても向き合っていかなければいけない問題ではないでしょうか。」
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